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ボラティリティと銅相場


2018年2月21日 13:30 日頃は大変お世話になっております。 守谷営業所事務担当の久保です。 前回のブログで、カタカナ語に困っていることをお伝えしましたが、このところ世間を困らせているカタカナ語と言えば、これでしょうか。 「ボラティリティ」 今月起きた米国株式相場の大幅な下落を引き起こしたのは、米国株式の「ボラティリティ」を示す「VIX指数」の急上昇であり、この「VIXショック」は世界の株式市場に波及したと言われています。 また「VIXショック」の影響は銅市場にも波及し、ロンドン金属取引所(LME)やニューヨーク商品取引所(COMEX)の銅相場が一時は大幅に下落しました。 しかし今回も言葉が難しくて困ります。 やはりまた、この聞き慣れないカタカナ語の意味を調べるところから始めないといけません。 まずは「VIXショック」を調べると、「VIX指数」の急上昇が引き起こした米国株式市場を始めとする世界金融市場の混乱のこと。 そして「VIX指数」は、「ボラティリティ・インデックス」の略で、シカゴ・オプション取引所が米国の主要株価指数である「S&P500」を対象とするオプション取引の値動きを元に算出している「ボラティリティ」の指数だそう。 正直これではなんのことだかわかりませんが、もう少し調べると、まず「インデックス」は、金融の世界では指標や指数という意味。 そして残る「ボラティリティ」が難しい。 単純な説明では「ボラティリティ」は、「変動率の大きさ」を示す指標ということになります。 「変動率の大きさ」を、株式相場や銅相場で普段使う言葉に置き換えれば、例えば「値動きの激しさ」でしょうか。 その「ボラティリティ」には2種類あり、一つが過去の実績を示す「ヒストリカル・ボラティリティ」で、相場の変動率から求めた「標準偏差」がそれに当たります。 統計用語である「標準偏差」は、データの散らばり具合を示す数値で、平均値との離れ具合の標準を示しており、これを銅相場などに当てはめると「変動率の大きさ」や「値動きの激しさ」となります。 話は難しいのですが、Excelでも簡単に計算できるので、「S&P500」の2008年から2017年の日次のデータを使って挑戦してみました。 計算結果は、日次の標準偏差が1.29%。これを年率換算すると20.40%。 なお平均変動率は0.03%で、年率換算では8.41%でした。 ご参考に下のグラフをご覧ください。

上記グラフは2008年から2017年の期間をとって、「S&P500」日次変動率の実際の分布を示したものです。 しかし金融理論の世界では、この実績のグラフそのままでは扱いにくいので、この変動率が下のグラフのような「正規分布」にしたがっていると仮定します。

このグラフの赤い矢印の幅が「標準偏差」。平均値との離れ具合の標準であり、カタカナ語で言えば「ヒストリカル・ボラティリティ」です。 なお余談ですが、グラフ内の縦棒の範囲にはそれぞれデータの「13.6%」「34.1%」「34.1%」「13.6%」が入るとされており、この4つの範囲には全体の約95%が入るとされています。 さて先ほど、「ボラティリティ」には2種類あるとお話しましたが、一つ目が「ヒストリカル・ボラティリティ」、そしてもう一つが「インプライド・ボラティリティ」で、これは将来の「ボラティリティ」の予想値です。 この「インプライド・ボラティリティ」は、過去の相場の実績からではなく、オプション取引という金融取引の値動きから、複雑な計算を経て算定されています。 これには、市場参加者の予測や期待などが反映されていると言われており、例えば株式なら、株価が将来、どれだけ大きく変動するかを予想したものとなります。 ブログの冒頭で触れた「VIX指数」は、実はこちらの「インプライド・ボラティリティ」、将来の「ボラティリティ」の予想値の指数でした。 ここまでわかると、「VIX指数」の急上昇が米国株式相場の大幅な下落を引き起こしたという話も、少しは理解できてきます。 「VIX指数」の急上昇は、市場参加者の予測や期待などが急速に悪化して、相場の変動が大きくなると予想されていることを示しているのですから、それならば株式が大幅に下落したり、銅相場が影響を受けたりするのも納得です。 調べてみれば、難しそうな文章も結局、「みんながこの先は値動きが激しそうだって言ってるから、それで損したら大損なので売っちゃおう。」という、大変わかりやすい話でした。 それにしても今回のこのブログの長さは、「ボラティリティ」という言葉の難しさを示しているのでしょうか。 今後もいろいろな観点から「銅相場」を学んでいきたいと思います。

久保 淳

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